[メイン] : x5 3d6 #1 (3D6) > 6[1,3,2] > 6 #2 (3D6) > 6[1,4,1] > 6 #3 (3D6) > 8[3,1,4] > 8 #4 (3D6) > 7[3,1,3] > 7 #5 (3D6) > 14[5,3,6] > 14

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 山城は月の灯りのみが照らす海にいた。

[メイン] 山城 : 「孤独ね……」

[メイン] GM : 海面が盛り上がる。黒い海が激しく飛沫を挙げ、まるで主の帰還を祝う拍手を奏でるかのように騒がしく波立った。

[メイン] GM : 海を割って現れたのは──山だ。山がよろめきゆっくりと動き出したことで、それが山でないことがようやくわかった。

[メイン] 山城 : 「何?…あれは…」

[メイン] 山城 : 「今までこんなの見たことない…不幸だわ…」

[メイン] GM : 無数の触覚で顔を覆い、濡れたゴムのようにぬらぬらと光る鱗に覆われた肉体が、一歩一歩と進むたびに海を震わせ、大地を絶望させる。

[メイン] GM : 最早人々は手を合わせ、ただ呆然と見上げることしかできない。

[メイン] GM : かの存在はそれだけ──存在するだけで生命を諦めさせる力があった。

[メイン] 山城 : 「て、敵襲!?で、でもあんなのって…」

[メイン] GM : 心の臓が中心から冷え、固まっていく感覚。呼吸が浅く小刻みになる。

[メイン] 山城 : 擬装ががたがたと震えているのを感じる。

[メイン] 山城 : アンバランスな艦体は今にも崩れ落ちてしまいそうだ。

[メイン] GM : しかし幸いなことは、頭の芯も同じように機能が失われていくことを感じられることだ。

[メイン] GM : この恐怖に耐えきれてしまう精神などがあれば──それは正に、悲劇としか言いようがない。

[メイン] 山城 : 「はは…あははは…」

[メイン] 山城 : 「お姉さま…山城は今…」

[メイン] 山城 : 「今までの不幸が……霞むくらい…」

[メイン] 山城 : 「あはは…お姉さま…みんな…」

[メイン] 山城 : 「私なんかを顧みず…お願い…」

[メイン] 山城 : 「逃げて…」

[メイン] GM : 海の王は触手を広げ、大地を絶望とともに血で染 め上げるだろう。

[メイン] GM : 矮小な生命を悲観せよ。偉大なる神を仰ぐのだ。

[メイン] GM : 最早この大地に進化も発展も不要である。恒久たる絶望が満ちる星で、死のみが唯一の救済と知るがいい。

[メイン] 山城 : 最早一発の弾も撃つことすらかなわず。

[メイン] 山城 : 艦橋は崩れ落ちていく。

[メイン] 山城 : その絶望をただただこの身体で感じた時。

[メイン] 山城 : きっと、この心の中に思い描くものが。

[メイン] 山城 : 死、なのだろう。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 汗が滲んでいた。

[メイン] GM : 山城は最近、悪夢をよく見る。冷たい汗を纏わせ、鈍い頭痛と共に起床するのが日課だ。

[メイン] GM : 北極より迫る青白い光に飲まれ息絶える、緑の一つ目に睨まれながら無数の触手に飲み込まれる、風に弄ばれ空で蹂躙される……数えきれないほどの恐怖が、夢を介して脳に深々と刻まれていた。

[メイン] 山城 : 「ぐう…いたた…またあの夢…?」

[メイン] 山城 : 「こんなことが続くなんて…不幸だわ…」

[メイン] 山城 : 「それにしても…あの化け物は何?」

[メイン] 山城 : 「なんでこんな目に合わなくちゃいけないのかしら…」

[メイン] GM : ともあれ、夢で日常生活をおろそかにするわけにもいくまい。山城は日常生活を開始する。

[メイン] 山城 : 身支度を整え鎮守府へと足を進める。

[メイン] 山城 : 大丈夫だ。あんなことは夢の中の出来事。

[メイン] 山城 : 日常は…少しづつ不幸なこともあるけれど、お姉さまやみんながいる限り乗り越えることが出来るはずだ。

[メイン] 山城 : きっと。

[メイン] 山城 :  

[メイン] 山城 : ということで情報でも頂きましょう

[メイン] 山城 : ニュースなり新聞なりを確認するわ

[メイン] GM : 新聞には特集記事がある。

[メイン] GM : 明日の夜、何千年に一度というとても珍しい星の配列が観れるとの事。

[メイン] GM : それに伴い、昴ドームで天体観測が行われるそうだ。
入場無料。

[メイン] GM : 場所は丁度近くにある。自室の窓から見えるぐらいに。

[メイン] 山城 : 「ああ…あのドームね」

[メイン] 山城 : 「珍しい星の配列に興味がないわけではないけれどそういう日ってよくないことが起こりそうで心配」

[メイン] 山城 : 「ほら…言うじゃない?月食や日食の日は不幸が起こるのだとか…」

[メイン] 山城 : 「…なんか嫌だわ」

[メイン] 山城 :  

[メイン] 山城 : そもそも、欠陥戦艦である山城に出撃の機会などはない。

[メイン] 山城 : 内側において練習を繰り返す。

[メイン] 山城 : 練習を繰り返す。

[メイン] 山城 : ただそれだけ。

[メイン] 山城 : まあ、そんなものならたまには星を眺めていくのも悪くないだろう。

[メイン] 山城 : 誰かも一緒に誘おうかとふとそんな考えが頭をよぎる。

[メイン] 山城 : それを実行しようとして…

[メイン] 山城 : ふと、よく見る悪夢がわたしの目の前に姿を現してこう告げるのだ。

[メイン] 山城 : 「不幸のおすそ分けか?」

[メイン] 山城 : はあ…

[メイン] 山城 : 一応、上官には最近睡眠不足であることを報告しておきましょう

[メイン] 山城 : どうせ、嫌みだとか悪いことなんて言われないわ。

[メイン] 山城 : まだ私は、必要とされていないんだから。

[メイン] 山城 : そんなことを考えて、一日を終えた。

[メイン] 山城 :  

[メイン] GM : 探索者は夜に目が覚める。悪夢を見ない、久しぶりの目覚めだ。

[メイン] 山城 : 「久しぶりに気持ちが良い目覚め…って、夜じゃない」

[メイン] 山城 : 「はあ…こんな時間に起きてしまうなんて…」

[メイン] 山城 : 「もう一回寝るのもなんかそんな感じじゃないし…」

[メイン] 山城 : とりあえず昼間のことを思い出して、窓の外でも眺めてみる。

[メイン] GM : 夜とはいえ街がひどく静まり返っていることに気がつく。町並みに灯りはなく、夜更かしな人々の姿も皆無だ。虫の鳴き声すら響かない。

[メイン] GM : しかし、昴ドームはほんのりと明るい。

[メイン] GM : 何故だかはわからないが、施設の灯りではないだろうと直感した。

[メイン] 山城 : 「……まさか」

[メイン] 山城 : 「火事の可能性があるわね…」

[メイン] 山城 : 「でもその割には騒ぎになってない…?」

[メイン] 山城 : 「いったいどういうことかしら…」

[メイン] 山城 : 「上に報告…しても民間施設のことだから関与してくれない可能性が高いわね…」

[メイン] 山城 : 少し逡巡して。

[メイン] 山城 : 「今この事態に気づいてるのがわたしだけなら、確認しに行ってみるのも一興かしら」

[メイン] 山城 : 「…どうせ、することなんてないもの」

[メイン] 山城 : 「はあ…せっかく気持ちよく眠れると思ったのに…不幸だわ…」

[メイン] 山城 : ということで向かってみます

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 街のすべてが、世界のすべてが沈黙している。活動している人間がいないため、街はとっぷりと暗い。

[メイン] GM : 昴ドームにも警備員の類はいない。

[メイン] 山城 : 「いや…ちょっと異常過ぎない?」

[メイン] 山城 : 「いくら深夜とはいえイベントも控えているのに誰も見回りがいないとかどうなってるのかしら」

[メイン] 山城 : 警戒しながら、中に入ってみましょう

[メイン] GM : 中に入ると、そこでは。

[メイン] 燃彦 : 炎のようにたゆたう衣を着た友彦と。

[メイン] 冷彦 : 氷のように透き通った衣を着た友彦が碁を打ち、ぬるいジュースを交わしていた。

[メイン] GM : あの灯りは、この二人から放たれていることに気がつく。

[メイン] 山城 : 「な…なにあれ…」

[メイン] GM : 山城に気がつくと、二人は至極穏やかに、探索者に一連のことを説明する。

[メイン] 燃彦 : 「星の並びが変わることは人間たちも気づいているのだろう」

[メイン] 燃彦 : 「星辰が揃いし時、眠っている神々の夢は終わり、破壊と絶望の限りを尽くす未来が来る」

[メイン] 山城 : 「いきなり変なことを話しかけてきた…不幸だわ…」

[メイン] 燃彦 : 「地球は生命の終わりを憂いた。そして愛されたのがあなた、だ」

[メイン] 山城 : 「あ…愛され…?」

[メイン] 燃彦 : 「地球は近い未来を夢に乗せてあなたに届け続けた。しかしあなたは艦娘だ、どうすることもできはしない」

[メイン] 山城 : ふと自分の人生に「愛され」などという言葉が少なかったことを思い出したり。

[メイン] 山城 : 「だから何の話なのよ…」

[メイン] 燃彦 : 「度々見る夢に覚えがあるだろう。それこそが地球からの警告」

[メイン] 山城 : 「地球からの警告って…あんなのが…?なんで私なんかに…」

[メイン] 冷彦 : 「だが案ずる事はない。私達が手を貸すことにした」

[メイン] 冷彦 : 「地球に愛された人間ならば、空に召し上げるに相応しい才覚だ。ならば単純な話、あなたを星にして星図を書き換えてしまえば良い」

[メイン] 冷彦 : 「……しかしそれは、友彦の系譜に連なることを意味する。艦娘であることを捨て、愛した人々と違う時の流れで恒久を生きることを強いはできまい」

[メイン] 冷彦 : 「これを最期の時と定め、わずかな時間を慈しみ地球とともに果てることもまた、生命に許された道である」

[メイン] 冷彦 : 「であればせめて、暴虐な神々に最期を恐怖で踏み潰されぬようこのまま穏やかに眠らせてやることもできる」

[メイン] 冷彦 : 「私達にできることは、あなたを空に召して友彦星にすること。あるいは優しい最期を迎えさせてやることだ」

[メイン] 山城 : あまりにも異常な人達の異常な話に脳内が追いつかない。

[メイン] 山城 : 「なに…?このままじゃ地球が滅ぶって言いたいの?いきなり現れて好き勝手なこと言わないでよ」

[メイン] 燃彦 : 「あなたの困惑は至極当然」

[メイン] 冷彦 : 「しかしこの二つの他に策はなし」

[メイン] 山城 : 「一体何の話なのよ!?どっちにしてもこのまま死ねってことじゃない!」

[メイン] 燃彦 : 「慰めにはならないだろう。しかし言わせていただきたい」

[メイン] 冷彦 : 「友彦星になることは、死ではない」

[メイン] 燃彦 : 「ただ恒久に世界を眺める存在へ召しあがる」

[メイン] 冷彦 : 「しかし、世に干渉することはどちらにせよ叶わぬ」

[メイン] 山城 : 「…結局他の人は助からないってこと?」

[メイン] 燃彦 : 「否」

[メイン] 冷彦 : 「あなた以外の生命は全て眠らせている」

[メイン] 燃彦 : 「しかし、あなたが友彦星になるならば、何事もなく目覚めるだろう」

[メイン] 冷彦 : 「もし生命を終える選択をするならば、せめて安らかに逝けるように」

[メイン] 燃彦 : 「そのまま眠りについてもらう」

[メイン] 山城 : 「そんなこといきなり言われても決められるわけないじゃない!」

[メイン] 燃彦 : 「あなたの非難は正しい。好きで愛されたわけではないだろう」

[メイン] 燃彦 : 「総ては宇宙の理。定められし運命」

[メイン] 冷彦 : 「しかし、運命は絶対的で残酷」

[メイン] 冷彦 : 「道は二つしか残されていない」

[メイン] 冷彦 : 「それでも、もし、やり残したことがあるというのなら」

[メイン] 燃彦 : 「最後の言葉を、愛する人に遺すことはできる」

[メイン] 燃彦 : 「眠りを解き、あなたが話すことで」

[メイン] 山城 : 「愛する…人…」

[メイン] 山城 : 「…いつまでに、決めればいいの」

[メイン] 燃彦 : 「明日の朝まで」

[メイン] 冷彦 : 「決断をしないのならば、私達は総てに眠らせ、ここを去る」

[メイン] 山城 : 私が…今まで誰のお役にも立てなかった私が…

[メイン] 山城 : 地球の…ために?

[メイン] 山城 : 頭がぐるぐるして、考えがまとまらない。

[メイン] GM : 二人の友彦は、碁を打ち思案する。

[メイン] 燃彦 : 「明日の朝には決するだろう」

[メイン] 冷彦 : 「それまでに、悔いのないよう」

[メイン] 山城 : 呆然として、2人が話す言葉をうわの空で聞いていた。

[メイン] GM : 碁を打つ音だけが静寂に響く。

[メイン] 山城 : パチリ、パチリという音が頭の中にだけ染み込んでいく。

[メイン] GM : その音が染みる度、刻限が迫ることを意識せざるを得ないだろう。

[メイン] 山城 : 「じゃあ…」

[メイン] 山城 : 「起こしてほしい人が、いるのだけれど」

[メイン] 燃彦 : 「よかろう」

[メイン] 冷彦 : 「誰を起こすか」

[メイン] 山城 : 「…お姉さまに、お話を」

[メイン] 燃彦 : 「聞き届けた」

[メイン] 燃彦 : 「こちらに呼ぶか、あなたが行くか」

[メイン] 冷彦 : 「友彦星になることは告げたくないのなら、私達の存在を明かしたくないのなら、あなたが行く方がいいだろう」

[メイン] 山城 : 「あなたたちの存在なんか知らせたくないから、わたしから行くわ」

[メイン] 燃彦 : 「よかろう」

[メイン] 燃彦 : 「既に眠りからは覚めている」

[メイン] 冷彦 : 「行くといい。そして決断をするならば、またここへ」

[メイン] 山城 : 「ええ…じゃあまたね」

[メイン] 燃彦 : 「では、悔いのないよう」

[メイン] 山城 :  

[メイン] 山城 :  

[メイン] 山城 : …海に着いた。

[メイン] 山城 : 誰一人、どんな海洋生物すらも今は眠っている、この海。

[メイン] 山城 : いつも同じ日常を繰り返していた、懐かしくも冷たい海。

[メイン] 山城 : そんな海辺のほとりに、わたしの愛する人は立っていた。

[メイン] 山城 : 「…扶桑姉さま」

[メイン] 扶桑 : 「山城?」

[メイン] 扶桑 : 「あなたも目が冴えちゃった?」

[メイン] 山城 : 「…なんだか眠れなくて…」

[メイン] 扶桑 : 「私もよ。二度寝する気にもならなくて」

[メイン] 扶桑 : 「つい海にきてしまったの」

[メイン] 山城 : 「何故か見に行きたくなる…この海…」

[メイン] 山城 : 「いろいろな思い出がよみがえってきませんか、姉さま?」

[メイン] 扶桑 : 「……ええ」

[メイン] 扶桑 : 「あなたのことや、鎮守府の思い出が……」

[メイン] 扶桑 : 「少し干渉に浸ってた。潮風が心地よくて」

[メイン] 山城 : 「姉さま…」

[メイン] 山城 : 何か言葉をかけなければならない。

[メイン] 山城 : しかし、頭のもやもやは晴れず。

[メイン] 山城 : 言葉にならない声が、息となって口から出てくることしか出来ない。

[メイン] 扶桑 : 「ああ、そうだ!」

[メイン] 扶桑 : 「山城、明日の夜に珍しい星の配列が……ってこと、知ってる?」

[メイン] 山城 : 「はっ!?え、ええと…」

[メイン] 山城 : 「新聞で読みましたわ、天体観測も開かれるそうですね」
動揺を何とかして抑えながら

[メイン] 扶桑 : 「明日、二人で行かない?」

[メイン] 扶桑 : 「提督にも言って私達は休みにしてもらったから」

[メイン] 山城 : 「ふ、2人きりでですか!?」

[メイン] 扶桑 : 「大きなイベントだから他にも人がいるかもしれないけれど、行くのは二人よ」

[メイン] 扶桑 : 「昴ドームも丁度近くにあるし、綺麗な星を見たらきっと山城も安らぐかなって」

[メイン] 扶桑 : 「最近少し調子が悪そうだったでしょ? 朝に会うときとか、いつも顔色があまりよくなかったから……」

[メイン] 山城 : 一瞬だけ、誰にも見せたことのない笑顔を示しながら。

[メイン] 山城 : すぐにその顔は浮かない顔へと戻って。

[メイン] 山城 : ぎゅっと、唇を噛みしめる。

[メイン] 山城 : 「姉さま…わたし…」

[メイン] 山城 : 叶うことのない約束などしてはならない。

[メイン] 山城 : それは、自分も相手も不幸にしてしまう、

[メイン] 山城 : 呪いの約束だ。

[メイン] 山城 : だからダメだ。

[メイン] 山城 : 行かないと言わなければ。

[メイン] 山城 : 行かない…行かない…行かない…

[メイン] 山城 : ………

[メイン] 山城 : ……も

[メイン] 山城 : …それでも

[メイン] 山城 : 目から熱いものが流れ落ちていく。

[メイン] 扶桑 : 「!? どうしたの山城!?」

[メイン] 扶桑 : 「もしかして体調が悪い? なら早く寝た方が……」

[メイン] 山城 : 「…い…」

[メイン] 山城 : それでも。

[メイン] 山城 : 「…行きたい…行きたいです…!姉さまぁ…!」

[メイン] 山城 : 泣きながら訴える。

[メイン] 扶桑 : 「私も一緒に行きたいけど……どうして……」
号泣する山城に困惑を隠せない。

[メイン] 扶桑 : 「大丈夫? 私がいるから……」

[メイン] 山城 : 「姉さまぁ…!わたし…行きたい…行きたい…姉さまと」

[メイン] 山城 : 「星を見に行きたい…!」

[メイン] 扶桑 : 「うん、うん」
私もそうだよと頷く。

[メイン] 山城 : 嗚咽が言葉を遮っていく。

[メイン] 山城 : 人目がないことは少しだけ助けにはなっていただろうか。

[メイン] 扶桑 : 「私も山城と行けたら素敵だなと思う。けれどもし体調が悪いとか予定があるなら無理しなくていいのよ」

[メイン] 扶桑 : 「もし明日行けなくても、いつかまた二人で過ごす時間はあるから」

[メイン] 山城 : 泣き目で霞んだ視界の中で、姉さまを眺める。

[メイン] 山城 : 嗚咽が漂う聴覚から、姉さまの声を聴く。

[メイン] 山城 : まだ、足りない。

[メイン] 山城 : そのまま姉さまの胸に飛び込んで、さめざめと泣く。

[メイン] 扶桑 : 「山城……」
受け止めて、優しく抱く。

[メイン] 山城 : 月明りだけがわたしたちを優しく見守ってくれる。

[メイン] 山城 : そのまま嗚咽が止まるまで、このまま。

[メイン] 扶桑 : 優しく頭を撫でる。

[メイン] 扶桑 : 「辛いことがあって、それは私にも言えないことなのかもしれない」

[メイン] 扶桑 : 「でも、一緒にいることはできるから。だから無理しないで」

[メイン] 扶桑 : 嗚咽が止まるまで、優しい言葉をかけ続ける。

[メイン] 山城 : わたしの気が晴れるまで、月はそれを眺めていた。

[メイン] 山城 :  

[メイン] 山城 : 顔を赤く腫らしながらも、泣き止んだわたしは少しだけ姉さまからそっぽを向きながら。

[メイン] 山城 : 「すみません姉さま…お見苦しいところを見せてしまって」

[メイン] 扶桑 : 「いいのよ」

[メイン] 扶桑 : 「山城が一人で無理するより、ずっといいから」

[メイン] 山城 : 「ありがとうございます…本当に」

[メイン] 山城 : 「そ、それでですね」
1つ、咳ばらいをして。

[メイン] 山城 : 「ごめんなさい姉さま…所用でやはり明日は一緒に行くことが出来ません」

[メイン] 扶桑 : 「そうなの……」

[メイン] 山城 : 「ですから、」

[メイン] 山城 : 「今宵」

[メイン] 山城 : 「…一緒に星を見ませんか」

[メイン] 山城 : 「わたしからの、お誘いです」

[メイン] 扶桑 : 「うん、いいわよ」

[メイン] 扶桑 : 「今は二人きりだし、落ち着いて見れるものね」

[メイン] 山城 : 「はい…他に邪魔するものもありません」

[メイン] 山城 : 「……」

[メイン] 山城 : 「手、繋いでもらえますか」

[メイン] 扶桑 : にこっと笑って、手を差し出す。

[メイン] 山城 : その手を受け取って。

[メイン] 山城 : 夜風に晒されていた手の冷たさに、申し訳なさをつのらす。

[メイン] 山城 : だが、それは誰が何と言おうと、温かい気持ちで包まれていた。

[メイン] 山城 : だから、「温かい」。

[メイン] 山城 : 「温かいです…姉さま」

[メイン] 扶桑 : 「うん……山城の手も温かいよ」

[メイン] 山城 : そのまま星を眺める。

[メイン] 山城 : 呼吸1つすら染みわたるこの空では、呆れるほど綺麗な星空が浮かんでいた。

[メイン] 扶桑 : 「綺麗……」

[メイン] 扶桑 : 「明日行けないのは残念だったけど、この星空を二人で見れてよかった」

[メイン] 山城 : 「ええ…二人っきりで」

[メイン] 山城 : 「独占、です」

[メイン] 山城 : 「…あ」

[メイン] 山城 : 「流れ星…」

[メイン] 扶桑 : 「本当だ。初めて見た……」

[メイン] 山城 : 「ええと…何か願い事をするといいんでしたっけ」

[メイン] 扶桑 : 「ええ、確か流れ星が消える前に三回願いが言えたら叶うらしいわ」

[メイン] 山城 : 「3回…頑張ってみます」

[メイン] 扶桑 : 「私もやってみるね」

[メイン] 扶桑 : ずっと二人でいられますように。

[メイン] 扶桑 : そう流れ星に告げる。

[メイン] 山城 : 「姉さまと一緒にいられますように姉さまと一緒にいられますように姉さまと一緒にいられますように…」

[メイン] 山城 : 心の中の願いは少し違って。

[メイン] 山城 : わたしがどこにいったとしても、姉さまが幸せでいられますように。

[メイン] 山城 : そう、誰にも告げずに胸の中で呟いた。

[メイン] 山城 : 「姉さま…」

[メイン] 山城 : 「今わたし、不幸じゃないです」

[メイン] 扶桑 : 「ええ、私も」

[メイン] 扶桑 : 「今、とっても幸せ」

[メイン] 山城 : 「…ええ」

[メイン] 山城 : 「わたしたち、幸せです」

[メイン] 扶桑 : 「そうね……本当に幸せ」

[メイン] 山城 : 月と、星と、流れ星だけが見守るこの世界で。

[メイン] 山城 : 初めてのこんなにも幸福な気持ちを享受する。

[メイン] 山城 : ああ、そうだ。

[メイン] 山城 : 誰かが、何かが終わりを迎えるとき、

[メイン] 山城 : 人は、艦はこんなにも美しくなれるのだ。

[メイン] 山城 : 「綺麗です…姉さま」

[メイン] 扶桑 : 「本当に綺麗。流れ星まで見れるなんて思わなかった」

[メイン] 山城 : そう、わたしの言葉は届かなくていい。

[メイン] 山城 : ただ、この幸せを感じられたのなら。

[メイン] 山城 : それでよかったのだ。

[メイン] 山城 :  

[メイン] 山城 : ふと、手に重みを感じて。

[メイン] 山城 : 姉さまが崩れ落ちていく。

[メイン] 山城 : わたしはそれを何とか支えようとして。

[メイン] 扶桑 : いつの間にか眠っていた。

[メイン] 扶桑 : 眠っているようにしか見えない安らかな顔は、呼吸をすることはない。しかし触ると体温は感じられる。

[メイン] 扶桑 : これは全世界で起きている事情なのだろう。安らかに逝けるよう、友彦らが施した眠りだ。

[メイン] 山城 : 「姉さま…!姉さま…!」
小声で語り掛けるが、反応はない。

[メイン] 山城 : 目頭を熱くしながらも、そっと寝かせていく。

[メイン] 山城 : その眠る姿は、まるで童話に出てくるお姫様を思い出して。

[メイン] 山城 : 誰にも渡したくない。

[メイン] 山城 : でも…

[メイン] 山城 : ああ、そうか

[メイン] 山城 : 姉さまにとっても、わたしがそういう存在だったら。

[メイン] 山城 : 悪いことをしてしまったな。

[メイン] 山城 : 「…ごめんなさい、姉さま」

[メイン] 山城 : 「山城は、自分勝手で、わがままな妹でした」

[メイン] 山城 : 「そしてそのまま、何も言えずに姉さまの元を去ります」

[メイン] 山城 : 「本当に、ごめんなさい」

[メイン] 山城 : 「でも、それでも、」

[メイン] 山城 : 「この声が届かなくても、言わせてください」

[メイン] 山城 : 「扶桑型戦艦2番艦を名乗れて、わたしは誇りでした」

[メイン] 山城 : 「姉さまといれて、とっても幸せでした」

[メイン] 山城 : 「…だから…」

[メイン] 山城 : 「ありがとう、姉さま」

[メイン] 山城 : 「扶桑姉さま」

[メイン] 山城 : そう言い残して、歩き去った。

[メイン] 山城 :  

[メイン] 山城 : ドームについて、2人と再び相まみえる。

[メイン] 燃彦 : 「悔いのないよう、話せただろうか」

[メイン] 冷彦 : 「このような選択を強いることを詫びよう。しかし見過ごすことは見殺しにすることと同義故に」

[メイン] 山城 : 「不幸なことに、どんなに話しても悔いは残るわ」

[メイン] 山城 : 「それでもけじめをつけるためには必要なことだった」

[メイン] 山城 : 「…わたしを星にしてちょうだい」

[メイン] 燃彦 : 「生きてくれるか」

[メイン] 燃彦 : 「愛した人々の笑顔が最早、寄り添うものではなく見守るものになっても」

[メイン] 山城 : 「ただし、1つだけわがままを言わせてもらうわ」

[メイン] 燃彦 : 「よかろう、聞き届ける」

[メイン] 山城 : 「わたしは、どんなことがあっても空から降りない、夜空で一番輝く星になりたい」

[メイン] 山城 : 「そうすれば姉さまが、みんなが見つけやすいから」

[メイン] 山城 : 「生憎艦橋のスタイルが悪くてね、目立つことには慣れてるのよ」

[メイン] 冷彦 : 「聞き届けた」

[メイン] 冷彦 : 「愛した人々の命が終わっても尚、何ひとつ支障をきたさないまま回っていく世界を見つめることになろう」

[メイン] 山城 : 「海底の底でいつまでも独りぼっちよりはよっぽど楽ね」

[メイン] 冷彦 : 「しかし、だからこそ、輝く星になることだろう」

[メイン] 山城 : 「ええ…その星を見た人に幸運を、そして不幸を、どちらも与えられて印象に残らせるような、そういう星になりましょう」

[メイン] GM : 友彦らは傾けていたものと同じぬるいジュースを山城にも勧める。その中には無色透明の液体に、星のような粒が無数に輝いていた。

[メイン] 山城 : 「…きれいね」

[メイン] 山城 : 一息に飲み干す。

[メイン] GM : 山城がぬるいジュースを傾けると、友彦らも柔らかく微笑み、それに倣う。

[メイン] GM : ぬるいジュースを飲み込んだ山城の体は光を放ち、ゆっくり浮き上がる。

[メイン] GM : そして、夜空へと昇っていく。

[メイン] 山城 : …祝砲でもあげましょうか

[メイン] 山城 : CCB<=90 一斉射 (1D100<=90) > 63 > 成功

[メイン] 山城 : 誰にも聞き届けられない砲撃が夜空に響き渡る。

[メイン] 山城 : これが戦艦山城の、最期。

[メイン] 山城 : 愛する人とあちらの世界に行くことはかなわなかったが。

[メイン] 山城 : みんなを、いつまでも見守れる星となろう。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 朝、何時も通り目を覚ました人々は口を揃えて「今日の夜に!」と言葉を交わす。

[メイン] GM : そして揃って見上げた星空が期待を裏切ったことに、肩を落とし不満に口を尖らせるかもしれない。

[メイン] GM : しかし。

[メイン] 扶桑 : 「綺麗……ってそれしか言えないけれど」

[メイン] GM : そこには悠久の時から頭上を照らしてきた美しい星々があるのだ。人はあっけなく、宝石箱をひっくり返したような星空の虜になることだろう。

[メイン] GM : 人々は指を指し、星をなぞる。綺麗だね、そう口にして、やがて笑顔を浮かべる。あなたを見つめながら。

[メイン] 扶桑 : 今日は山城と一緒に来れなかったのに、不思議と一緒にいる気がした。

[メイン] 扶桑 : ずっと見守ってくれているような、離れていても繋がっているような。

[メイン] 扶桑 : もしかしたら、流れ星が願いを叶えてくれたのかもしれない。

[メイン] GM : END 431光年先の君へ

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] 山城 : 宴よ~~~!!!